【CL戦術分析】レアルマドリーvsマンチェスターシティ-2つの役割を担ったジェズス

今回は、CL決勝トーナメント・ラウンド16 1st.Legのレアルマドリーvsマンチェスターシティ」を取り上げて、久しぶりに戦術分析をしてみたいと思います。
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スタメン

 

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レアルはラモス、ヴァラン、バルベルデなどいつも通りのスタメンを選出したなという印象を受けます。

対するシティは、デブライネとBシウバの偽9番を採用するなど、普段とは異なる感じのフォーメーション・メンバー選択になりました。

レアルの攻守における作戦

今試合でレアルは主に3種類のビルドアップを行っていました。

まず、1つ目はシティの左サイドハーフ裏を経由し、ボランチ前に侵入する形です。ただし、シティが前半2分にBシウバを前線、ジェズスを左サイドハーフに配置転換させたことで、この形は作れなくなりました。

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次に2つ目は、ラモスとヴァランの両CBが開いてフリーになるカゼミロを経由する形です。中盤にモドリッチバルベルデがいる影響もあってか、シティのロドリとギュンドアンはカゼミロにプレスをかけられないシーンが多く、この形は有効でした。

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最後に3つ目は、シティがフリーのカゼミロにプレスをかけたときにモドリッチが降りてくる形です。このようにレアルは中盤の数的優位を生かしてビルドアップを成立させていきました。

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一方、守備ではエデルソンにはプレスを実施しないオールコートマンツーマンを敢行していました。エデルソンにプレスを行わない理由としては、シティの前線にフィジカル的に強い選手がいないためでしょう。

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シティの攻撃の形

では、シティはどのような形でこの試合に臨んだのかを説明していきます。

攻撃ではデブライネとBシウバがW偽9番として少なくとも、カゼミロの脇に位置して中盤に数的優位を作っていました。また、前線では主にジェズスがカルバハルの裏を常に狙いながら攻撃の形を作っていました。

ここで忘れてはならないのが、メンディとウォーカーの両SBです。いずれのSBもサイドのレーンを1人でカバーできるので、ジェズスがセカンドトップのような形で攻撃に取り組めたといえます。

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そして、守備ではデブライネとBシウバを前線に配置。ジェズスとマフレズをサイドに置き、ロドリとギュンドアンの2ボランチを形成した4-4-2のブロックを敷いていました。

その中で、ジェズスがカルバハルを常に意識していたので、サイドハーフ裏を利用してボランチ前に侵入されるシティの弱点を改善することに成功していました。前半2分のジェズスとBシウバの配置転換によって、レアルの1つ目のビルドアップを防いだといえるでしょう。

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先制してからのレアルとスターリング投入で勢いづくシティ

後半15分にレアルは先制に成功すると、オールコートマンツーマンをやめてベンゼマとイスコを前線に置いた4-4-2のゾーンディフェンスで守るようになりました。

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一方のシティは、後半18分にBシウバに変えてスターリングを投入。ジェズスを前線に置き、スターリングを左サイドハーフに配置しました。これによってシティ全体の攻撃にスピード感が生まれました。

また、投入されたスターリングは、シティが今試合を通じて狙ってきたカルバハルの裏をジェズスと同様に突き、チャンスを演出。その効果が示されるように、シティの2得点いずれもがカルバハルの裏を利用して生まれています。
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まとめ

レアルは試合を通して負けるような内容ではありませんでした。むしろ、勝っていてもおかしくない試合展開でした。それでも、2つのアウェイゴールとラモス退場による2nd.Leg出場停止というディスアドバンテージを背負ってしまった点は辛いところです。ただ、このようなピンチを覆すことができるのもレアルマドリーというクラブなので、逆転のチャンスはあるでしょう。

シティは貴重なアウェイゴールを2つ奪い、ホーム・エティハドを迎えますが、ラポルトの欠場が濃厚+メンディが出場停止と不安な点もあります。今までのペップ・グアルディオラのCLでの戦い方を見ると、ホームでは「自分たちの王道的なサッカー」をやるのではないかと予想しています。なので、ペップがどのような戦い方を選ぶかも注目ポイントですね。